稲垣えみ子著『家事か地獄か』と私の暮らし
私より7歳年下の著者が実践している生活について記した本。基本的に今流行のミニマリストの生活本と言えるだろうけど、副題に『最後まですっくと生き抜く唯一の選択』とあるように、まだ現役世代の著者が高齢化していく先を見据えた本でもある。
著者がやってきたことすべてが万人に向いているわけではないけれど、読んでいてはっとすることも多々あった。
物が多すぎるから片付かない。便利だと思って(企業にそそのかされて便利だと思い込んで)購入しづづけていると物は増える一方である。
これは、自分の家を片付けていて痛切したことでもある。なぜ、こんなに洋服があるのか。見た記憶がないものが押し入れの奥から出てくる。そして、それらを整理整頓するため、または使い勝手よくするためにはどうしたらいいのかとネットで検索をすると、新しい何かを買う羽目になる。これでは、片付けているようで片付けていないなとは思う。プラ製品を増やしているだけである。
著者は大きなマンションから小さなマンションに引っ越したことを契機に物を捨てまくった。これは、物を捨てるためにはベストな方法である。なぜなら、置き場所があれば片付けてもまた増えるし、私の場合、部屋が空いているんだから、いいんじゃないかなと思い始めている。しかし、これが進むとゴミ屋敷になる。
この一年で、両隣の家に入る機会があった。それぞれ、90歳間近の夫妻と80代半ばの女性が住んでいる。かなりの衝撃であった。ゴミ屋敷とまでは言わないが、床が見えないほど物が片付けられていない。これでは、しょっちゅう物を失くすわけである。使っていない部屋に物をどんどん入れていく。この辺いったいは同じ建売住宅なので、建材は同じだし、間取りも似ている。将来の我が家を見たようで、なんとも言えない気持ちになった。
高齢になっての断捨離は身の回りの整理というか、死後に恥ずかしくないように、または子供たちに迷惑をかけないようにという気持ちですることが多いと思う。しかし、本当は今生きている自分がどう暮らしたいかということを考えなければならない。そこがスタートである。著者は有名なこんまりさんの片付け本の神髄は「心がトキメク…」ではなく、「自分が目指す理想の暮らし」を強く、かつ具体的にイメージすることが重要であるの部分だと言う。
確かに、ぼっとした気持ちでやっているから片付かないのだ。生活とは生き方なのだから考えなければならない。
つづく
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