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segunda-feira, 9 de janeiro de 2012

Extremely Loud & Incredibly Close

ジョナサン・サフラン・フォアの「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(訳:近藤隆文)を読み終えた。何しろ、今までに見たことのない体裁の本だったので読めるのかと思ったが案外、気にならなかった。見たこともないというのは、文中で文字フォントが変わる、写真が入っている、手書きの色文字が出てくる、白紙のページがあるなどなど。考えてみたら、ヴィジュアルで見つつ、読むというのは常日頃、ネットの世界で触れていることだった。

映画化され2月に公開されるということもあり、話の筋は検索をかければざくざくと出てくるのだが、9.11で父親を失ったオスカーの物語である。当然、軽い話ではなく辛くて一日に1時間ぐらいしか読めない日もあった。

人の身に起きることの残酷さは情け容赦がない。そして、誰もそれを予期することができないのだ。「これが最後」とは思って生きていない。後から「あれが最後だった」と知ることになる。だから、遺された者はああしておけば、こうしておけばと後悔の念につきまとわれる。それを背負っていくのが人生かもしれない。ドレスデンの大空襲で愛する人を失ったオスカーの祖父のように40年以上にもわたって思い続ける人がいる。時と共に受けた傷は薄らいでいくというが、果たして本当だろうか。いや、薄らぐかもしれないが決して消えることはないのだ。それでも、人は生きていこうとする力を持っているのだと思いたい。オスカーが実在の人物ではないとわかっていても、たくさんの愛を受けて生き続けていてほしいと思う。

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