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quinta-feira, 17 de junho de 2010

グリーン・ゾーン 現実を知ること

 この映画はドキュメンタリーではない。グリーングラス監督は、『グリーン・ゾーン』はスリラー映画であり、事実に基づいているとは主張していない。しかし、Chicago Sun Timesに映画評論家のRoger Ebertが書いているように、登場人物や状況が奇妙なほど現実世界と類似しているのだ。その類似性が私の気持ちを落ち着かなくさせた。そんなことは知っているよと思っていることと、知っていると思っていたけれど本当はわかっていなかったということの混乱で胃がむかつくほどだった、

 スクリーンの中でミラー(マット・ディモン)に率いられた部隊が大量破壊兵器を探している。しかし、私たちはそんなものはどこにも存在しないことを知っている。なのに、彼らは命を懸けて探している。わずか7年前のことだ。実際にミラーたちが演じているように、暴動に近いイラク国民の間を縫って職務を行っていた人たちがいたのだ。命を落としたりケガを負った人もいたことが想像できる。いや、そういう現実があったことが描かれていなくても突きつけられる。

 映画というのは不思議なものだと思う。事実を100%再現することなどは出来ない。しかし、物語を見せること、それも、目と耳に伝えることで、見た人により深く考えさせることができるのだ。映画を見て、おのれの人生、社会、政治、恋愛、様々なことを考える。

 娯楽として楽しみたい、見た1時間後に忘れてもその場だけで楽しみたいこともある。でも、この映画を「娯楽」「スリラー」だけとして見てしまうのは残念だ。映画は作り物だけど、ウソによって始まった戦争のせいでイラクは混乱におちいり、今もイラクに米軍をはじめ各国の軍隊が駐留しているのが現実だからだ。現実の中には作りものではない人ひとりずつの人生がある。

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