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domingo, 19 de junho de 2005

むかしむかし

むかしむかし、東京の西にある街にひとりの女の子が住んでいました。子供の頃から元気一杯でママゴトもするけれど、探検隊を編成して野原を歩き回るのも大好きな子でした。家には野球のバットもありました。本物のバットではなかったけれど。

学校に行くようになって、女の子は他の子たちとちょっと違うところがあるかもしれないってことに気がつきました。他の子たちはおとなしいのです。授業でわかっていても手を挙げて答えようとしません。学級会で私はそれは違うなぁと思っても女の子たちは誰も何もいいません。後になって文句は言うのですが。

そのうち、女の子の耳に聞こえてきました。「女のくせに」「女なんだから」「おんな、おんな、おんな」

なぜ男の子に許されることが、自分が女だというだけで許されないの? 男の子だって女の子だって考えることもあれば感じることもあるのに、なぜ、女の子は黙っていなければならないの?

でも、そんな風に感じている子はあまりいないようです。

これは、「むかしむかし」の話ですが、それは30年ぐらい前のことです。世の中が変化したスピードを考えると「むかしむかし」のことです。

1970年代に入って、「ウーマンリブ」「女性解放」「フェミニズム」が言われるようになってきました。自分がもしかして間違っているのかなぁ~、確かに男子に出来ることで女子に出来ないことってあるものね・・・と思っていた女の子は一生懸命、ウーマンリブについて勉強をしました。そして、私は間違っていなかったんだと知りました。

学校の授業でも、ウーマンリブについて発表をして、同級生や先生をびっくりさせてしまいました。なんかとっても恐い人のように思われたようです。でも、そんなことは気になりませんでした。学校の子たちと同じ考えでいるより、ジョンやヨーコと同じ考えでいる方が自分にはぴったりだと思ったからです。

それから、学校を卒業して社会に出て、それは、単なる幸運だったのかもしれませんが、女だからと言って激しく差別を受けることもなく日々過ごしていました。ちょっとはイヤなことがあったりしましたが、なんとか乗り切れるものでした。

そして、時は2005年。21世紀になってすてに4年。

30年以上も前にウーマンリブについて語っていたのに、私がアメリカ人だったら、Oh My God!!! Fuck You! Shit! などなど罵詈雑言を浴びせてやるぅ~と言うような会社で仕事をすることになってしまったのです。幸いにして日本語にはあまり悪い言葉がないので口をつぐんでいましたが、信じられない思いで一杯でした。

女性だけが全社の掃除をする(しかも女性は5人しかいない)。
秘書の仕事とは:
「弁当、買って来い」「たばこ、買って来い」「お茶を入れろ」「ゴミを捨てろ」
セクハラは当然。

考えてみれば、こういうような会社はまだまだあるのかもしれません。
いったい何があれば人々の意識は変るのでしょうか? 
この30余年におよぶ日々はなんだったんでしょう。世の中は一部では止まっていたのでしょうか?

30年前の女の子も、人生の折り返し点を通過してしまった人間です。
人生は短い。
人ひとりで革命は起こせません。裸の王様にはそのままでいてもらいましょう。かかわりたくはありません。
30年前の女の子は、「これって、我が人生最大の皮肉かしら」とため息をつきながら、その会社を後にしました。

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