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segunda-feira, 20 de dezembro de 2004

体の贈り物

今年も残りわずか・・・年賀状、何もしてませんが、やはり、なんとなくこの一年を振り返ってしまうことが多い。

今年は、なんだろう? なんだか「ひりひり」するような感情が一杯あったように思う。

泣くということを大きな声で言うのは好きじゃないのだけれど、今年はよく泣いたかもしれない。自分の身に起きたことで泣いたのではなく、本を読んで泣く、映画を見て泣く、音楽を聴いて泣く、試合を見て泣く・・・・。

年のせいで涙腺がゆるくなっているのかもしれない。はい、マジで。

友だちから薦められてレベッカ・ブラウンの「体の贈り物」を読んだ。「ひりひり」の一年の終わりにふさわしくオイオイと泣いた。
前にも書いたけれど本の紹介が得意ではないので、訳者の柴田元幸さんがあとがきに書いているところから拝借。

「訳した本はどれも、届くべき読者に届くことを祈りつつ世に送り出すものだが、この本はいつにも増して、熱く祈りたいと思う」
「この本の内容をざっと要約してみると、たとえば「エイズ患者を世話するホームケア・ワーカーを語り手とし、彼女と患者たちとの交流をめぐる、生と死の、喜びと悲しみの、希望と絶望の物語」といった具合になるだろう」

と柴田さんは書きながら、こう書くと陳腐な物語を想像してしまうだろうけれど、とにかく、この連作短編のひとつでも良いから本屋さんで立ち読みしてくださいと書いている。

そう、全然、陳腐じゃないのだ。ひとつひとつの言葉が全身に響いてくる。元の英語の良さなのか、柴田さんの訳が素晴らしいのか(たぶん両方)、翻訳書にありがちな、「よくわかんないこの状態」というのがない。書かれていることが目に浮かんだり、体に感じられたりするのだ。世の中に物語を書いてくれる人がいて、本があって、それを翻訳してくれる人がいて、紹介してくれる友人がいて、本当に良かった。

いい本だと思う。

ドラマチックなことがあるわけではない。エイズ患者とホームケア・ワーカーの日常が描かれている。その日常は、ある意味、HIVに対して意識の薄い日本人にとっては、平均的日本人よりは少しはましなんじゃなかろうかと思っている私にとってさえも、ガンと頭をなぐられるようなショックがある。でも、彼らにとっては、日々の生活なのだ。

病気になって苦しんで生きて、人と人の繋がりがあって、行ってしまう人たちがいて残される人たちがいる。

読んで良かった。

文庫本にもなっているぐらいなので、すでに読んでいる人も多いと思う。
是非、ご一読を。 でも、電車や喫茶店や公共の場では読まない方が良いと思う。私は「しまったぁ!」と思った時はすでに遅かった・・・。

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